未成年者をターゲットにした性犯罪は、しばしば「グルーミング」から始まります。
グルーミングは、一見すると性犯罪と無関係に見える行為です。しかし、その背後には、未成年者の心理に巧みにつけ込んで、自らの欲望を実現しようとする加害者の悪意があります。
グルーミングには、加害者も被害者も男性のケースもありますが、こうしたケースは社会の中であまり可視化されてきませんでした。異性愛を前提とした社会通念や、同性愛への偏見などから、被害者が声を上げにくいという構造的な問題があるからです。
今回は、男性、特に未成年が被害に遭うグルーミングについて、その手口や実際の事件、関連する法制度、個人が注意すべきことなどを解説します。
性犯罪としての「グルーミング」とは何か?
性犯罪としての「グルーミング」とは、性行為やわいせつ行為などの性的虐待を目的として、加害者が未成年者との間に信頼関係を築き、心理的に支配したり依存させたりして性的虐待への抵抗を低下させていく行為です。「性的グルーミング」「性的手なずけ」などともいわれます。
加害者は教師、指導者、被害者家族の友人など、被害者の顔見知りだけでなく、インターネット上の見知らぬ他人などが権力関係や立場の差を利用して接近することもあります。
グルーミングは、好意的な態度を示したり、プレゼントを提供したり、悩みの相談に乗ったりして、心理的距離を縮めることから始まります。そして、性的な話題を出したり、性的な画像や動画を要求したりするなど、性的虐待へと進んでいきます。虐待が性的な接触にエスカレートすることもあります。
グルーミングの加害者は、外見上は被害者に優しく接しています。そのため、周囲の人々だけでなく、被害者自身も危険性に気づきにくく、被害が発覚するまでに時間がかかりがちです。さらに、同性間では、社会的な偏見や沈黙の圧力が強いこともあり、より深刻な影響を及ぼしかねません。

日本で発生した同性間グルーミングと法的な対処
日本で発生した同性間グルーミングは、2018年のケースがあります。
東京都内で活動していた30代の男性は、SNSを通じて10代の男子高校生に接近し、性的な画像の送信を求めた上で実際に会おうとしました。この男性は当初、相談相手や兄のような存在を装って男子高校生を信頼させましたが、次第に性的な話題を増やし、性的な要求をエスカレートさせていきました。
恐怖と嫌悪感を抱いた男子高校生が家族に相談し、警察に通報されたことで、事件が発覚しました。加害者は児童ポルノ禁止法違反および青少年保護育成条例違反で逮捕され、有罪判決を受けました。
日本には、未成年者に対する性的な接近や画像のやり取りを取り締まる児童買春・児童ポルノ禁止法があります。また、各都道府県は青少年保護育成条例を定めます。そのため、18歳未満の青少年に対して性的画像を送信させたり、実際に性的関係を持つことは違法です。
2023年の刑法改正では、183条に面会要求罪と映像送信要求罪が盛り込まれました。面会要求罪では、わいせつの目的で16歳未満の者に対し、威迫や誘惑などを行ったり、金銭などを渡したりして面会を要求した者は、1年以下の拘禁刑か50万円以下の罰金に処されます。一方、映像送信要求罪では、わいせつの目的で16歳未満の者に対し、セックスや性器露出の写真や動画を撮影して送るよう要求した者は、1年以下の拘禁刑か50万円以下の罰金に処されます。これらが一般的に「グルーミング罪」と呼ばれます。
グルーミングを取り締まる法制度を整備している国々
海外でも、グルーミングを取り締まる法制度を整備している国々があります。
イギリスの Sexual Offences Act 2003 (2003年性犯罪法)は、16歳未満の子供に対して性的な意図で接触する行為を、実際に性的関係に至らなくても犯罪としています。そのため、グルーミング段階での摘発が可能です。
EUでは、2022年に施行された Digital Services Act (デジタルサービス法)により、インターネット上での違法行為への迅速な対応が義務化されており、プラットフォーム側にも通報対応と削除義務が課されています。
アメリカでは州によって異なりますが、 Online Enticement of Minors(未成年者のオンライン誘引) という概念が確立しており、FBIや各州警察が専門部隊を設けて、ネット上で子供が被害者となる性犯罪の監視と摘発を行っています。また、各SNSプラットフォームに対しても、児童保護のための規制強化が求めています。
未成年者と接する際にゲイが注意すべきことは?
グルーミング被害にあった未成年者は、精神的なトラウマによって、性的自己認識が混乱したり、人間不信に陥ったりすることが報告されています。
特に同性間グルーミングの被害者は、同性愛者に対する嫌悪を強めることがあります。また、被害者自身も同性愛者だった場合、「自分が同性愛者だから悪いのかもしれない」という自責の念から、声を上げにくいといわれます。
こうしたグルーミング被害への対策や予防のため、法制度が整備されていると同時に、教育現場などで教員たちの意識改革も進んでいます。一方、個人でも言動には十分注意することが求められています。
特に、ゲイであることを公表している男性は、未成年者と接する際には細心の注意を払う必要があります。成人男性と女児がスキンシップすることは多くないでしょう。一方、同性同士だと、成人男性に抱き着くやんちゃな男児もいます。そういう場面を他人(特にゲイへの偏見や差別が強い人)に目撃されることで、グルーミングを疑われる可能性があります。
未成年者と接する場合、二人きりにならない、体に絶対に触らない、下ネタを言わないなど、グルーミングを疑われる言動はすべて慎むべきでしょう。

学校の先生や保育士など、子供と接する機会の多い仕事をしている人は、教え子たちとの距離を適切に保つことが、これからますます求められるね。それから、塾講師や家庭教師のバイトをしてると、男の子の中には、下ネタを連発する子や、やたらとスキンシップをしてくる子なんかがいて、僕も苦労したことがあるよ。「男同士だから問題ない」は一昔前の価値観で、現在は通用しないから要注意だ。

僕の定食屋でも、「クマさ~ん」って言いながら僕に抱き着いてくる男の子がいるんだ。常連さんの子供だけど、たまたまその場に居合わせた赤の他人が見たら、どう思うかわからない。だから、その子には「抱き着いちゃダメだよ」って注意して、やめさせるようにしてる。「ダメなものはダメ」と教えるのが大人の役割だよ。
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