一徹(いってつ)は、2008年には日本で初めて女性向けAVに出演したことで有名なAV男優です。「鈴木一徹」名義で出演することもあります。2004年にAV業界に足を踏み入れた後、その端正なルックスと魅力的な演技で瞬く間に注目を集めました。
一徹はセックスの相手となる女性を大切にするプレイで、女性たちから圧倒的な支持を受けました。「エロメン」としての地位を確立し、「女性向けAV」という新しいジャンルを切り開いてきました。
ゲイの間でも人気のある一徹の活躍について紹介します。
公認会計士を目指すイケメンが汁男優デビュー
一徹は中央大学卒業後、公認会計士の資格取得を目指して勉強していましたが、なかなか合格できず、将来に悩んでいました。このとき、動画サイトで「君もAVの現場に来てみないか!」という募集広告を見ました。当時24歳だった一徹は、疑念と不安がある一方で、悶々とした気持ちが強まり、思い切って応募しました。このことが人生の転機となります。
初期の一徹の仕事は脇役の汁男優で、女優と絡むことはありませんでした。男性向けの作品を中心に出演を続けるうち、次第にその名が知られるようになり、単体男優としてのポジションを確立しました。その後、大手AVメーカー「ソフト・オン・デマンド」が女性向けAV専門レーベル「SILK LABO」を立ち上げる際、当時29歳だった一徹がキャスティングされました。これが一徹のキャリアを大きく転換させることになりました。
SILK LABOは、「女性が安心して楽しめるAVを目指す」という新たなコンセプトを打ち出していました。これに共感した一徹は、女性向けAVの世界での第一歩を踏み出していきます。

上の動画はSILK LABOの作品で、一徹さんが主演の『BLACK OR WHITE ITTETSU』です。詳しくは、以下で確認してください。
『anan』がきっかけで女性向けAV男優として有名に
一徹は、女性向けAVへの出演が決定したとき、初めてファンレターを受け取ったといいます。当時のAV業界は男性向けしかなく、男優は女優を引き立てる黒子のような存在に過ぎませんでした。だからこそ、一徹は自分に注目が集まることに戸惑い、大いに驚いたそうです。
2009年7月には、女性週刊誌『anan』のセックス特集号で、一徹が出演する映像のDVDが付録となりました。これが大きな話題となり、女性向けAVの需要が急速に高まりました。売上が低迷していたAV業界で、女性向け作品が数万本単位でヒットする現象は、業界関係者にとっても驚きだったといいます。
女性向けAV男優として一躍有名になった一徹は、女性がAVに求めるものを理解すると同時に、女性向けAVが世間に受け入れられたことを実感しました。
一徹によると、男性向けAVと女性向けAVの最も大きな違いは、監督の指示内容や撮影現場での雰囲気だといいます。男性向けのAVでは、どうしても過激な演出や愛撫が多く、女優があくまでも男性の欲望を満たす存在であることが求められがちです。一方、女性向けAVでは、女優と男優の間に親密感や優しさ、思いやりが必要です。すなわち、女性が安心して視聴できる点が重視されます。
また、女性向けAVでは、理想とされる男性像も男性向けAVとは異なります。ちょっとワルっぽいが実は優しい一面を持つ男性が、風邪を引いた女性を看病するようなシチュエーションが、女性視聴者には支持されます。成人女性もまた、少女漫画に登場するようなロマンティックな男性を求めているのです。


上の画像はSILK LABOの作品で、一徹さんが主演の『Face to Face 5th season-another chapter- お互いを高め合う、最高の快感体験』のワンシーンです。詳しくは、以下で確認してください。
女性向けAVの需要拡大や性産業の多様化が進む現代
一徹は、性産業全体が多様化し、女性向けAVだけでなく、女性向け風俗が普及してきた現状を肯定的に捉えつつも、バランスを考えて利用することの重要性を訴えます。女性が自分の欲望に正直になり、それを満たしてくれるサービスを利用することは、健全だといいます。しかし、過剰にのめり込むことに対しては警鐘を鳴らします。
昨今、ホストに全財産をつぎ込んだ挙句、借金や詐欺に手を出してまで貢ぐ女性がしばしば話題となります。このように依存傾向のある女性に向けて、一徹は注意を喚起しているといえます。
一徹は現在、AV男優として出演するよりも、コンテンツを作る側に回っています。女性向けレーベル「RINGTREE」を自ら立ち上げ、自身が理想とする作品を制作しました。具体的には、過剰な演出を排除し、より普通のセックスを表現しました。しかし、地味だったこともあってあまり売れず、購買層に受け入れられる作品作りのが難しさを痛感したそうです。
一徹は、ファンタジーとしてのAVに求められるものを模索し続けます。RINGTREEの方針は引き継ぎつつも、何らかの「味付け」を施していくことになりそうです。多くの人々に共感されるコンテンツを目指す一方で、性についての新しい価値観にも切り込んでいくのでしょう。
一徹は、AVをはじめとする、性に関するコンテンツと真摯に向き合ってきました。自ら製作する映像作品が人々にどのような影響を与え、社会にどう貢献していくのかを常に考えています。
女性向けAVの需要拡大や性産業の多様化は、女性だけでなく、ゲイをはじめとした性的マイノリティにとっても歓迎されるべき動きです。一徹の今後のさらなる活躍に期待します。
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